
「それは、あなたが成長するチャンスだよ」
「見方を変えれば、いい経験になったんじゃない?」
「相手にも事情があったのかもしれないね」
支援的で、あたたかい言葉に聞こえます。
実際、これは NLP の「リフレーミング」
という関わりに近いものです。
出来事の意味づけや、物事を見る枠組みを変えることで
苦しさから抜け出す手がかりを見つける。
子どもが一つの見方に閉じ込められて苦しんでいる時、
別の視点はたしかに大きな助けになります。
ところが、保健室でこれを急いで使うと、
まったく逆のことが起きます。
■ その「前向き」は、誰のためのものか
子どもが傷ついている時。
怒っている時。
不安でいっぱいの時。
その子の中では、まだ何も整理がついていません。
何が起きたのか。
何がつらかったのか。
本当はどうなりたかったのか。
そこが見えていない段階で、
大人がすっと「でも、いい経験になったね」
と意味を変えてしまう。
すると子どもは、こう受け取ることがあります。
「わかってもらえなかった」
「つらいと言ってはいけないんだ」
「先生は、早くこの話を終わらせたいんだ」
大人にとっては前向きな関わりのつもりが、
子どもにとっては、感情を否定された体験になる。
「前向きにしてあげたい」という思いが強いほど、
この落とし穴は深くなります。
■ 感情は、邪魔者ではない
うまくいかない時、たいてい感情の扱いが浅くなっています。
「悔しかったんだね」
「怖かったんだね」
「本当はわかってほしかったんだね」
この受け止めを飛ばして前向きな意味づけをしても、
子どもの心には入っていきません。
もちろんそればかりでは、
これまでの対応と同じになってしまいます。
大切なのは、ココ↓↓
『感情は、消すべき邪魔者ではないということ!』
その子が何を大切にしていたのかを教えてくれるサインです。
怒りの奥には、守りたかったものがある。
悲しみの奥には、大切にしたかった関係がある。
不安の奥には、ちゃんとやりたいという願いがある。
感情を飛び越えたリフレーミングは、
その子の一番大切な部分を素通りしてしまうのです。
■ 見方を変える前に必要なこと
保健室で本当に必要なのは、
見方を変えることではなく、
まず子どもの内側にあるものを、
丁寧に見える化することです。
何が起きたのか。
その時、何を見て、何を聞いたのか。
何が一番いやだったのか。
ここを整理しないまま
見方だけを変えようとすると、
子どもは現実を扱う力を育てる前に、
こう学んでしまいます。
「嫌なことは、よい意味に変えればいい」
それは、レジリエンスではありません。
現実を見ないための、思考のクセです。
リフレーミングは、
感情をなかったことにする道具ではありません。
では、教育的に使うために、大人は何を心がければいいのか。
後編では、現場で使える「三つの心構え」を整理します。
それでは、今日も素敵な1日を!
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